コンポストトイレについて考えてみた。その2

人由来の肥料の事をHUMANUREと海外では言っているらしいので、これからはその呼び名で行こうと思う。
ちなみに我々はHUMANUREを堆肥として作物を育てることは今のところは考えていない。
ただ、自分たちで安全に堆肥化を行い、完全に無害化してから土に返したいと考えているだけだ。
このような暮らしで、離れているとは言え近隣に住民がいる以上、生活スタイルについての説明責任はあると思う。
なので、なるべく納得していただけるような理論武装をするため、わざわざ面倒くさい方法で処理しようとしている。
そこで、コンポストを実践するに当たって、堆肥化の主なメカニズムとその過程、そして各フェーズにおいてどのような微生物が働いているのかをざっと調べてみたのでまとめてみる。

堆肥化のメカニズム

まず、Golueke の定義によると、堆肥化とは「生物系廃棄物をあるコントロールされた条件下で、取り扱い易く、貯蔵性良くそして環境に害を及ぼすことなく安全に土壌還元可能な状態まで微生物分解すること」とある。
つまり、廃棄物に含まれる有機的成分を微生物によって分解し、そのまま土に返せるように安全に無害化するということ。
農業的には、硝酸態窒素まで分解して植物が吸収しやすい窒素の形にするのが重要になってくる。

堆肥化には大きく分けて二つのフェーズがある。
それは一次発酵と二次発酵だ。
一次発酵では廃棄物に含まれる糖、でんぷん、タンパク質、アミノ酸などの分解しやすい成分が代謝される。二次発酵では一次発酵で分解しきれなかった成分がより細かく代謝される。
分解の進行具合は、分解されにくい物質がどの程度代謝されたかで判断する。
例えば、植物の細胞壁等に含まれるペクチン、セルロースといった多糖類やリグニンのような高分子のフェノール性化合物が分解されたかが一つの指標となる。
一般的に一次発酵はペクチンが分解されたあたりまでとされている。
二次発酵はその後のセルロース、リグニンが分解されるまでの間だという。

各時期における微生物の働き

まずはじめに活躍するのが糸状菌だ。
いわゆるカビのことである。
この糸状菌がでんぷんを小さい糖に変え、他の微生物が代謝しやすい形にしてくれる。
ちなみに、糸状菌はセルロースを分解する働きもある。そのため、糸状菌が死滅していない未熟の堆肥を与えると植物の根が腐ったりする。
続いて酵母が活躍する。
酵母は糖を分解したり、タンパク質をアミノ酸に代謝したりする。
そして、納豆菌(枯草菌)。
納豆菌は優れた分解屋ででんぷん、タンパク質、セルロース、リグニンを分解する。
また糸状菌の働きを抑制する機能もある。
最後に働くのは放線菌。
放線菌は落ち葉や腐葉土に多く存在し、堆肥づくりの仕上げを行う。
キチナーゼというキチン質を分解する酵素を産生し、病害虫予防にもなる。
流れに沿っていうと、初めに糸状菌や酵母、他の好気性微生物が活躍し、分解しやすい有機物(つまり腐りやすいもの)を代謝する。
反応が進むにつれて30~60℃以上まで温度が高くなり、初めにいた糸状菌や酵母、他の病害性微生物などは死滅する。そして、高温性、好気性の納豆菌、放線菌にバトンタッチして分解が進んでいく。
大ざっぱに、はじめは高温が苦手な奴らが分解しやすいものを分解し、後半は高温が好きな奴らが分解しにくいものを分解するという感じ。
微生物はそれぞれ最適な温度、pH、水分、酸素量、C/N比があり、これらがうまく合致していないと上手に発酵しないという。

温度

活動温度は糸状菌や酵母は15℃~40℃ほどで中温性、納豆菌や放線菌は30~65℃で高温性。
ちなみに、アメリカ環境保護庁では堆肥を55℃以上の温度に3日間以上さらすことを求めているそうだ。
高温性微生物の活躍が鍵となるため、大きい温度計を堆肥に刺して発酵状況を判断すると良い。

pH

糸状菌、酵母はpH4~6、納豆菌はpH6~8、放線菌はpH7~7.5でよく活動する。よって、中性付近で発酵させるのが良さそうだ。
しかし、カバーマテリアルとして使う予定のピートモスは酸性に傾かせる性質があるので、木灰などを加えてpH調整してやるとよいかもしれない。
木灰を加えるのは海外の情報ではあまりよろしくはないとされている。
というのも堆肥がアルカリ性に傾き、アンモニウムイオンと水酸化物イオンがくっつき、アンモニアガスが発生し臭いの元になるからだという。また、窒素分も失われるのでC/N比のバランスも崩れてしまう。
そのため、ピートモスと木灰というのはpHコントロールの組み合わせとしては良いかもしれない。

水分

最適水分量は大体20~80%と幅広いが、基本的に水っぽくなりがちなので、吸水性のある炭素分の多い混合材(おがくずなど)を混ぜてやると良い。

酸素量

腐敗の原因となる微生物は嫌気性のものが多いので、攪拌してやることで好気的にしてやる事ができるのだが、環境条件を完全にコントロールするのは難しい。
そこで、嫌気的条件下でも腐敗させないために、有用な嫌気性微生物をあえて加えてやると良いという。
EM菌に含まれている乳酸菌、光合成細菌、酵母はどれも嫌気性よりの微生物であるのだが、例えば乳酸菌の生成する乳酸には殺菌作用があり、嫌気的条件になってしまったときに乳酸菌が優先的に働くことによって腐敗を防ぐことが出来るそうだ。
また、光合成細菌は硫化水素やメルカプタンといった悪臭物質をエサに光合成を行うというすごい奴。
ただ、EM菌には実際は光合成細菌が入っていなかったとかでかつて揉めていたようだ。

C/N比

C/N比とは炭素と窒素の比率のことで、微生物はこの二つを消費しながら堆肥化は進んでいく。
C/N比が低いと窒素分が多くアンモニアが発生しやすく、逆に高いと炭素分が多くアンモニアを抑制できる。
堆肥ではC/N比は20~30程度が目安とされている。

法律関係

一応、法律関係も載せておく。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則

第十三条 法第十七条の規定により肥料としてふん尿を使用することができる場合は、市街的形態をなしている区域内にあつては次のとおりとし、その他の区域内にあつては生活環境に係る被害が生ずるおそれがない方法により使用するときとする。
一 発酵処理して使用するとき。
二 乾燥又は焼却して使用するとき。
三 化学処理して使用するとき。
四 尿のみを分離して使用するとき。
五 し尿処理施設又はこれに類する動物のふん尿処理施設により処理して使用するとき。
六 十分に覆土して使用するとき。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の運用に伴う留意事項について

第五 ふん尿の使用方法の制限に関すること。
規則第十三条の運用にあたっては、特に次の点に留意すること。

(1) 市街的形態をなしている区域とは、当面都市計画法第七条第二項に規定する区域とすること。
(2) 発酵処理には、農家において従来から実施されている堆きゅう肥生産による処理を含むものであること。
(3) 乾燥には、泥炭、乾土、流紋岩質凝灰岩粉末、オガクズ等に吸着させて乾燥する場合および加熱処理する場合を含むものであること。
(4) 化学処理とは、ふん尿に硫酸、石灰窒素、硫酸鉄等を加えて処理したものをいうものとすること。
(5) し尿処理施設に類する動物のふん尿処理施設とは、動物のふん尿を活性汚泥法、散水ろ床法、嫌気性消化法等により処理するものをいうものとすること。
(6) 覆土には、耕土と十分に混和することを含むものであること。
(7) ふん尿を一定期間以上貯留し、腐熟させて使用する従前より行なわれている方法を用いて差し支えないものであること。

*都市計画法第七条第二項
2.市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね十年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。

**堆きゅう肥とは植物のみではなく家畜などのふん尿を含む堆肥の事。

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コメント

  1. 小椋正明 より:

    ミキジローさんはじめまして(^_^)
    活動(生き方)が素晴らしい。
    昨今、貴方のような生き方を選択する若者が増えていることを嬉しく思います。
    全く同感します。堆肥化理論、とても勉強になりました、ありがとうございます!
    人生1度だけ、有意義に過ごしましょう。
    62歳、本業木工屋、その他いろいろまちづくり、環境活動などやっております。

    • mikijiro より:

      はじめまして。
      いえいえ、とんでもないです~。
      でも、励みになります。
      悔いの無いように思い切りやってみようと思います。