半年間ベジタリアン生活をした話。

きっかけ

秋田昌美「わたしの菜食生活」

学生時代に半年間ベジタリアン生活をしたことがある。
きっかけは秋田昌美の「わたしの菜食生活」を読んだことだ。

秋田昌美はMerzbow(メルツバウ)として知られるノイズミュージシャンだ。
ノイズミュージックはかなりマニアックなジャンルの音楽ではあるが、実は日本は世界でも有数のノイズミュージック大国であり、中でもメルツバウは群を抜いて世界的評価を受けている人物だ。
彼の音楽は非常に過激なもので、エクストリームミュージックの中でも極北と呼べる存在である。
79年から活動している彼だが、ある時期からアニマルライツの観点から社会批判をする作品を創るようになったという。
そして、そういった背景から彼自身も菜食主義者になり、なかでもヴィーガンと呼ばれる一切の動物性食品を口にしない絶対菜食主義者として生活しているそうだ。

この「わたしの菜食生活」は彼自身の食生活の紹介をはじめ、ヴィーガン的な生活入門として書かれている。
非常に読みやすく、また彼の思想的な部分にも触れられており私は多くの感銘を受けた。
そして、思想として全面的に支持したわけではないが、物は試しと半年間の限定的な菜食生活をしてみたのである。

ベジタリアンについて

世界のベジタリアン

世界的にみて最も多いのはインドで人口の約30%がベジタリアンだという。
3億人以上、つまり日本の人口の倍以上である。
また、イギリス、アメリカでは人口の約15%程が広義のベジタリアンだそうだ。ロンドン市民に限って言うと30%程だという。
イギリスでは2016年に新たに発行されるイングランド銀行のプラスティック紙幣に獣脂が使われていたことから、ヴィーガンによる抗議運動が起き、獣脂をパーム油に変更するという事態になった。
このことから、イギリスではベジタリアンが社会の中で一定の発言力を持っていることがわかる。

ベジタリアンの種類

ベジタリアンには色々な種類がある。それはベジタリアンになる理由が様々であることとリンクしており、それぞれの思想的、宗教的、文化的、身体的背景により何を食するかのルールは異なる。

例えば、卵はOKなオボ・ベジタリアン、乳製品はOKなラクト・ベジタリアン、魚はOKなペスコ・ベジタリアン、ナッツや果物のように木になるものだけを食べるフルータリアン、そして一切の動物性食品を摂らず、動物性製品(毛皮や革製品等)を身に着けないヴィーガンなど色々な種類がある。

ヴィーガンは思想的にかなりハードコアで動物から一切の搾取をしないことを掲げているので、なんとはちみつも摂らない徹底ぶりだ。蜂からも奪わないという。

ちなみに、昔の日本人の伝統的な食生活は魚は食べるぺスコ・ベジタリアン的なものだったという。

私は健康的に少し心配だったので、基本的に卵は食べるオボ・ベジタリアンの立場から、なるべくヴィーガン的な食生活を目指すように実験してみた。

実際の食事

まずヴィーガンにならって、一切の動物性の食品を排除することにした。

この作業で最も気にしたのは出汁である。
調味料の多くには肉や鰹節由来のうまみ成分が入っている。
なので、市販の調味料はうかつに買えないので、ベジタリアン御用達の通販サイトで、シイタケ出汁のめんつゆとドレッシングを購入した。
シイタケと言えば精進料理に用いられる出汁である。
精進料理といえば不殺生戒を守る仏教徒の食事だ。

あと、ソイミートという、大豆でつくった肉もどきを購入した。
これはチップと細切りのものがあって、それぞれひき肉と細切り肉として麻婆豆腐とチンジャオロースーに使用してみた。
細切りソイミートは独特のにおいが気になって、残念な感じだったが、チップの方はたれに良くなじんで美味しかった。

ソイミートチップの麻婆豆腐、アボカドサラダ、玄米

全粒粉のパスタもよく食べた。
イタリアンは肉を使わなくともクオリティの高い美味しい食事になるので良かった。

オリーブとトマトの全粒粉パスタ

トマトとにんにくをうまく使えばパンチのきいたうまみの強い食事になることがわかったので、応用としてチリビーンズをつくった。
たんぱく源としての豆も一度に多く摂取できるのでこれは良かった。
レッドキドニービーンズ(赤インゲン豆)の缶詰も場所によっては安く買えるので重宝した。

マッシュルームのうまみが効いたチリビーンズ

日本人の心である和食は大豆を中心とした料理である。
美味しく栄養を得る知恵が詰まっていて、大豆という一つの食材が様々な顔を見せる。

ジャパニーズスタイル。豆腐尽くし。冷ややっこ、豆腐味噌汁、納豆(枠外)。大豆づくし。

基本的に玄米を主食とした和食スタイルで、たまに全粒粉パスタや蕎麦をたべた。
毎食のように豆腐を食べ、豆乳もよく飲んだ。

感想

健康には問題なし

半年間の実験を終えて元の食生活に戻った。
この生活をしていた時に多くの人に肉を食べないとダメだとか、そんなんじゃ病気になるとか色々なことを言われたが、結果は全く問題なかった。
肉を食べなければいけないというのは単なる思い込みで洗脳のようなものだとわかった。
筋トレすればちゃんと筋肉もついたし、運動にも全く支障はなくむしろ調子よかった。
もちろん積極的にタンパク質を摂るようには心掛けていた。
主に大豆で補うようにしていたので、大豆の偉大さに気が付いた。
大豆がなければ生きていけない気がしたし、日本人の食事と大豆は切っても切り離せない大切なものだと実感した。アイラブ納豆、味噌汁、豆腐。豆乳はプロテイン。

個人の自由

やはり、ベジ生活の一番つらいところは付き合いに困るということだった。
外で食べられるものがあまりないのである。
日本の外食はベジ表記などないし、さぞかしムスリムやヒンドゥー教徒は困るだろうなと思った。インドではほとんどの食品にベジマークがついていて、ベジかノンベジかを判別できた。
日本はまだまだベジタリアンに対する理解がないし、個人の思想信条を尊重する文化風土も育っていない同調圧力の強い社会だ。
興味本位でベジタリアン生活をしただけなのに図らずもそんな景色が見えてきてしまった。

ベジ生活体験を生かす

オフグリッド生活になると食品の保存が難しいので必然的に肉を摂取することが困難になる。
そのため、缶詰など保存のきくものでタンパク質を取り入れる工夫が必要となる。
今後の食生活の実験にも、この時のベジタリアン体験が生かせればいいと思っている。

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