新規就農を断念したわけ。

我々夫婦は2016年度に新規就農に向けた研修をスタートしたが、結果としては断念してしまう事になった。

今回の記事では、そこに至るまでの経緯を記したいと思う。

これから新規就農を考えている人にとっても失敗談はきっと役に立つと思うので、恥を忍んで赤裸々に書いていこう。

新規就農についての基礎知識

ユメさんの実家のある東北地方で新規就農のための研修を受けた。
作目は果樹。ブドウ農家になるのが目標だった。

青年就農給付金

まず、新規就農するに当たって青年就農給付金という制度を利用した。
これは新規就農者を支援する制度で、かなり太っ腹なので利用しない手はない。

青年就農給付金には準備型(2年)と経営開始型(5年)の2種類があり、基本的には2年間の研修時には準備型を受給し、その後独立する際に経営開始型に移行するという流れだ。それぞれ年間150万円が生活費として支給される。

農業経営が軌道に乗るまではどうしても経済的に不安定になるし、研修時は忙しくてアルバイトをする暇はないので給付金がないと貯金を切り崩すしかない。
なお、途中で辞める際は準備型は全額返済となるので要注意。
ちなみに我々は持ち出しの資金でやりくりしていたので、辞める際は給付金には一切手を付けずに返済した。

新規就農の条件

条件としては市町村によっても若干異なるが、基本的には以下の通りである。

・農地法の下限面積である50a以上の農地を用意すること

・農業経営に必要な技術、農機具、倉庫や住居を確保すること

新規就農におけるハードル

土地取得

なんといっても、最初の大きな難関はこれである。
研修を終えて1年以内に土地を手に入れられなかった場合、給付金は全額返済しなければならない。
我々は夫婦で研修を受けていたので2人合わせて1haの土地を用意しなければいけなかった。
農地は余っているのに外から来た人には地元の人は土地を貸したくないので、実際にはお世話になっている研修先農家さんのつてを頼る他なく、行政はほぼ役に立たなかった。

景観が変わるほど、耕作放棄地があるのにも関わらず、土地が回ってこない事に農政の難しさを感じた。役所の人達も頭を抱えていた。
実際、問題意識をもって新規就農者の面倒を見ているのは地元の大きな農家さんたちで、草の根の取り組みに行政が依存しているような構造だった。

冬場の営農

我々夫婦が就農しようとしていたのはウメさんの実家のある東北地方。冬場はハウスで暖房を炊く以外の方法では農業はほぼ出来ない。しかも、雪下ろしをしないとハウスは倒壊の危険性があり、果樹は木が折れてしまう。なので、冬場は必然的に出稼ぎの合間に雪下ろしをする生活になる。

果樹の難しさ

果樹は野菜と違い、植えてから収穫できるようになるまでの期間が長い。ブドウの場合比較的、他の果樹作物よりは早く収穫できるものの、3年で半量、5年でようやく全量になる。
また、病気や病害虫にやられ収穫がゼロになることも度々あり、さらに木自体がダメになってしまえば新たに植樹しなければならない。

就農を断念

経営リスクとコスト

断念した理由としては、農業経営をする上で最低限必要とされる規模の土地を手に入れるのも難しかったし、それを二人で回していくことに不安を感じたことが大きい。
また、余程の付加価値を付けなければ利益は頭打ちなので、必然的にコストをカットしなければならないが、それにしては規模が大きく経営リスクが大きすぎるように感じた。
どっちにしろ冬場に出稼ぎをしなければいけないのだったら、もっと小さく農業をしたいと思い、それなら半農半Xのように自給自足+他の仕事の方が良いのではないかと考え、結果的に就農を断念した。

農業研修を受けて良かった点

農作業は楽しい

農作業は確かに大変だが、奥が深くとても面白かった。勉強しなくてはならないことが沢山あるし、農家の方の知識の多さには驚いた。還暦を過ぎているのにものすごい体力でばりばりと働いていて正直言って格好良かったし、長年培った技術の高さを目の当たりにして圧倒された。

農家は考え方が違う

会社員とは全く違う視点で社会を見ているし、農業は政治に影響されやすいせいもあって、政治に関心のある人たちが多かった。行政を身近に感じることが多いのは面白かった。立場によってものの考え方は変わる事を実感できた。

実際に体験しなければ見えてこないことがある

ここに挙げたことは調べればある程度事前に把握できるものも多い。
確かに、新規就農を念頭に色々と調べだすと、やめておけという意見ばかりだった。
しかし、実際に体験すること、その現場に身を投じることで見えてくる景色は全く違うものであった。とても貴重な体験だったし、勉強になった。

今後の目標

新規就農は難しかった。しかし、そこから見えてきたことは農を生活に取り入れつつ別の稼ぎの手段を持つ生活はかなり良さそうだという事だった。
なので、今後は生活コストを下げるため、土地を買って小屋を建てて、まずは家庭菜園からはじめようと思う。ゆくゆくは相対で農地を借りることが出来れば御の字だ。

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